＜STORY＞
天才的な頭脳を持つリンは、進学校に特待奨学生として転入を果たす。友人のグレースをテストの最中に “ある方法” で救ったリンは、グレースの彼氏・パットからカンニング・ビジネスをもちかけられ、様々なカンニング方法を編み出していく。大学統一入試「STIC」を舞台に、最大のトリックを仕掛けようとするリンたちは、もう一人の天才、バンクを仲間に引き入れようとするが…。

実話ベースなのが驚き！

アジア各国で深刻な社会問題となっている受験戦争を背景にしているため、裕福な家庭なのに学力が上がらない子供たちのストレスが描かれているところが興味深い。

中国で実際に起きた集団不正入試事件をモチーフにしているので、妙な緊迫感がありますが、登場人物たちの個性を上手く織り込んであり見どころ十分。オーシャンズ11ばりのスリルと興奮も味わえます！

個性的な主人公リン

進学校に入学する冒頭、したたかだけど真面目で大人しそうな風貌の主人公リン。しかし、そこからカンニング・ビジネスに手を染め、だんだんと悪い顔になっていく様子には固唾をのんでしまいます。

リン役を演じたチュティモンちゃんはモデルとして活躍してはいたものの、演技は未経験だったそう（信じられない！）。映画初主演をオーディションで射止め、本国公開後に人気が大爆発！ アジアでも一目置かれる存在に。

コメディではないカンニング

カンニング映画というと「ザ・カンニングIQ=０」というタイトルの1980年のフランス映画があり、多くの人がコミカルな空気感を想像すると思いますが、この作品はどちらかというと犯罪エンターテイメントといった趣。

展開は淡々としていますが、学生たちのお互いを思う気持ち＝嘘のない友情も描かれ、大人視点では格差社会への痛烈な批判ともとれるエピソードも随所に盛り込まれていて、いろんな意味で手に汗握る作品なのです。

バッド・ジーニアス 危険な天才たち
原題：「Bad Genius」2018年　タイ
監督：ナタウット・プーンピリヤ
脚本：ナタウット・プーンピリヤ、タニーダ・ハンタウィーワッタナー、ワスドーン・ピヤロンナ
キャスト：チュティモン・ジョンジャルーンスックジン／チャーノン・サンティナトーンクン／リンダ・カーデリニ／イッサヤー・ホースワン　他