<STORY>
美しくてかわいく、それでいてどこか謎めいたところのあるリズボン家の5人姉妹。しかしある日、末っ子のセシリアが手首を切ってしまう。手首を切った理由を聞かれ「死にたかったわけではない。自分を消したかった。」と話すセシリア。一命をとりとめたセシリアだったが、彼女は数日後、自宅で開かれたパーティーの最中、窓から身を投げて命を落とす——。
ソフィア・コッポラが扱う美しい「死」

リズボン夫妻の5人の美人姉妹に対する異常な厳しさは、末っ子の自殺未遂という悲劇となってしまう。物語はこの家族の目線ではなく、近所に住む少年たちの目線で進んでいく。「死」というシリアスなファクターが、なんともつかみ所のない、フワフワした質感でゆっくりと漂う。
奇跡的なサントラは聴くだけで脳内映画鑑賞
↓公式ではありませんがほとんど同じ
サントラは歴史的名盤です。ハート、10cc、アル・グリーン、ギルバート・オサリバンが違和感ゼロで真空パック。
メインテーマ、AIR「Playground Love」のけだるさは映画全体の空気を象徴しているし、名シーンで流れるトッド・ラングレンは涙なくしては聴けません。まさに物語と音楽の融合!
幻想的な光のなかで展開する独特な世界

話の筋だけに注目すると“悲劇”ということになるけど、記憶に残るのは姉妹の瑞々しくも儚い表情だったり、幻想的で柔らかい光、イカした音楽だったりする。
おとぎ話のような、5人の姉妹がまるで人間ではないような(この映画の全ての登場人物は結局何が起こったのかを理解できていない)。
何度も頭の中に蘇ってくる、不思議で悲しいお話なのです。
「ヴァージン・スーサイズ」
原題:「The Virgin Suicides」1999年 アメリカ
監督/脚本:ソフィア・コッポラ
キャスト:キルステン・ダンスト/ハンナ・ホール/キャスリン・ターナー/ジョシュ・ハートネット